こだわりの繭づくり
- 2018.10.3
純国産繭にこだわる理由とは?
◎全ては自然なシルク原料を得るために
弊社のシルク化粧品に使うシルク抽出液は細い一本の絹糸の中に、自然に存在する微量のシルク成分です。自然なものを自然なまま取り出すために、繭を一度、真綿に手加工し、自然状態の真綿からシルク成分を抽出しなければなりません。そのため、繭づくりの段階から注意を払い、化学薬品との接触を避け、繭本来の持つ自然な状態のシルクアミノ酸を変質させない様にすることがとても重要となります。
昔から衣類の用途でしか知られていなかった絹糸というものは、繭をアルカリという化学薬品で処理し、セリシンというタンパク質を取り除いて得られます。こうして得られた絹糸は光沢がとてもよく、繊維材料としては申し分のない品質です。また、繭や絹糸をより白く見せるために、ホルマリンなどの有機溶剤で洗浄処理をすることも珍しくありません。しかし、私たちが必要としているシルク抽出液の成分は、すでにこれらの化学薬品との接触によって変質し、その真価を得ることができません。
◎目に見える形がお客様へのおもてなし
昨今、消費者の食への安全性の意識の高まりによって、化粧品など、お肌に直接触れる商品への安全性もより意識される様になりました。食材や美容商材の多様化によって、消費者の購買意欲を高める商品はたくさん市場に出回っています。
しかしながら、美味しい=体に良いとは限らず、化粧品でも、しっとりスベスベ=いい化粧品とはかぎりません。
目に見えないことが安全を装い、ひとたび問題が起こってしまうと、不安を与えてしまいます。
生産者にとって目に見えないことを見える形にすることが、お客様への最大のおもてなしと考え、純国産繭を原料としたシルク化粧品の生産にこだわり続けています。
2012年6月より純国産の繭づくりスタート
年々の養蚕業の衰退ととともに、養蚕農家も激減し、今では、生繭量が全国1位の群馬県内でも220戸を下回りました。
そのため、安心安全なシルク化粧品をお客様に安定供給するため、自作の繭づくりが必要不可欠となりました。
◎本家本元の群馬で繭づくり
群馬県沼田市上発知町1708番地『サラダパークぬまた』内のハウスの中で繭づくりスタート。
全面ガラス張りの大きなハウスは1棟が間口12m×奥行き20m×高さ約5m
『サラダパークぬまた』は都市住民と農業農村との交流の場、森林文化の啓発の場として、また、地域住民の憩いの場として平成3年に建設整備された共用施設です。
周辺は自然が豊富で、りんご、ぶどう、桃、いちご、さくらんぼ、ブルーベリーなどの果樹園が多く、今では、数少なくなった養蚕業のなごりを漂わせる桑畑の跡地もたくさん見られます。
◎養蚕(繭づくり)は6月と9月の年2回
1棟のハウスの中に、深さ約60cm×幅140cm×奥行き10mのスーパー飼育台と呼ばれる縦長の網かごを3列設置。蚕は1令~5令まで5段階の成長過程があり、桑葉を食べながら、約3日毎に4回脱皮を繰り返し、そのたびに成長していきます。
2令3日目の脱皮前の蚕を、脱皮を終えるまでの間に飼育台に移し、3令1日目の蚕に、桑葉を与えていきます。
3令3日目、4令5日目と脱皮を2回繰り返すと5令の蚕となり、10日後には蚕が口から絹糸を吐き始めます。
蚕の数は3列の飼育台全て合わせて、約45000頭、繭の出来高が70%としても、約30000個の繭づくりとなります。
◎600坪の桑畑が3箇所必要
蚕は4令、5令になると桑葉を食べる量が極端に増します。
1日のうち朝6時、午前11時、午後6時の3回に分けて桑葉を給桑し、5日繰り返すと、5令への就眠、脱皮が始まります。5令に入っても毎日3回の給桑を10日間行っていきます。そのために、あらかじめ広大な桑畑の準備と確保が必要となるのです。
昔は向こう三軒両隣、皆が桑の葉を育てて、養蚕をしていたこのハウスの近隣の土地も今ではすっかりと様相が変わり、桑畑を確保するのも一苦労。ハウスから車で約5分程度のところに600坪の桑畑を3箇所確保し、給桑に対応しています。
新しい桑の苗木の植付や、雑草の引抜き処理などの手間を考えると、低コストで輸入される外国産繭にシェアを奪われるのも理解できます。
上智製薬編集部 2018.10.3
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